史料 昭和戦前期における茨城県の漁村別鰹節生産高

茨城県における鰹節の生産は昭和期に入ると顕著な衰退期を迎える。この時期の漁村別生産状況を『茨城の水産』によって示す。

郡別の数値は 史料 茨城県の郡別鰹節生産高 に示しているとおりである。これらを郡別からさらに漁村別の推移をみたいところであるが、当時各町村が記録している「事蹟簿」にあたらなければならない。それには少々時間を要する。その前に時期は限られるが、漁村別の数値を一覧できる『茨城の水産』によって生産統計を紹介する。

目次


史料について

漁村について

昭和3年(1928)

製造
戸数
従業
員数
数量金額 時期販路漁村戸数従業員数量金額



94



 - 



  -  



499,600



  -  



 - 
磯浜

平磯
磯崎
久慈
河原子
豊浦
大津
平潟
8
28
5
6
11
3
5
25
3



-







-




82,400
159,500
7,200
16,500
95,000
4,000
16,000
112,000
7,000

『茨城の水産 昭和4年』(1929年刊)

昭和6年(1931)

製造
戸数
従業
員数
数量金額 時期販路漁村戸数従業員数量金額



90



642



65,930



285,400



5〜9月


東京
名古屋
群馬
栃木
県内
磯浜

平磯
磯崎
久慈
坂上
豊浦
大津
平潟
5
28
8
3
10
4
6
25
1
25
196
32
11
100
11
12
250
5
3,000
15,000
5,000
2,500
15,500
130
5,000
13,500
6,300
9,000
90,000
15,000
10,000
62,500
450
12,500
60,750
25,200

『茨城県の水産 昭和7年』(1932年刊)

昭和9年(1934)

製造
戸数
従業
員数
数量金額 時期販路 漁村 戸数従業員数量金額



68



479



29,700



134,250



6〜9月

東京
群馬
栃木
埼玉
千葉
県内
磯浜

平磯
磯崎
久慈
豊浦
大津
平潟
10
12
18
3
9
5
10
1
70
48
144
8
135
15
50
5
4,000
6,500
2,000
500
10,000
1,200
5,000
500
16,000
29,000
10,000
1,750
50,000
4,800
20,000
2,500

『茨城の水産 昭和十一年版』(1936年刊)

昭和14年(1939)

製造
戸数
従業
員数
数量金額 時期販路 漁村 戸数従業員数量金額



43



329



19,323



115,700



5〜9月

東京
神奈川
静岡
群馬
県内
波崎
磯浜
那珂湊
平磯
久慈
豊浦
大津
平潟
1
6
8
5
1
4
15
3
2
60
80
40
5
40
90
12
200
6,000
2,050
523
1,000
1,000
8,000
550
1,400
33,000
13,325
2,610
8,000
7,000
48,000
2,365

『茨城の水産 紀元二千六百年記念版』(1940年刊)

附録 明治30年の鰹漁規模

鰹節の製造は鰹漁と一体である。鰹漁については別途紹介の予定であるが、茨城県内各漁村の鰹漁の規模が一覧できる明治30年(1897)の統計を示す。もちろん漁獲地=製造地ではなく、また漁獲高=製造高でもない。しかしこの時期における鰹節製造地を一覧的に示すものがなく、そうしたことを類推できるものとして紹介する。

郡名町村名鰹漁船数乗組漁夫雇数鰹漁獲高
数量:貫 価格:円
東茨城郡磯浜町601,320190,00082,500
那珂郡湊町32704317,800104,400
平磯町782,000
久慈郡久慈町18360102,95038,101


多賀郡
坂上村水木8144

335,900


103,460
河原子町13234
高鈴村会瀬10180
豊浦町16320
大津町30600
平潟町7123
合計十ヶ町村2975,988946,650328,461

『茨城県水産誌 第五編』p.7(鰹漁獲高は明治30年『茨城県統計書』より)