日立製作所多賀工場製 卓上扇風機
この扇風機は日立市郷土博物館に展示されているものです。
日立製作所日立工場に勤めていた石田紹さん(日立市神峰町)の父親が購入したもので、多賀工場で1951年(昭和26)に4700台製造された内の1台であるといいます。
高さ43.5cm、幅34cm、奥行き25.5cm。羽根の直径は30cm。羽根の回転速度は2段階に調整でき、左右に自動で首を振り、上下の向きはネジで固定する方式です。
本体台座の部分の裏面に楕円形のプレートが貼り付けられています。そこには次のように印刷・刻印されています。
A.C. DESK FAN
SIZE 30CM(INTI) VOLTS 100
CYCLES 50 / 60 STYLE M-6032B
▽9-322 JIS C-9601
MFG.NO.1640441
HITACHI.LTD
昭和14年(1939)4月に多賀工場の開場式が行われますが、それに先立つ14年1月に扇風機や小型モーターを製造する工場が多賀工場内に完成しました。当時卓上扇風機は輸出向けが大半で、国内での需要は多くはなく、しだいに生産は縮小されていきました。
戦後の1946年(昭和21)に進駐軍からの天井扇2000台の大量注文がありましたが、国内向け卓上扇風機の本格的な生産は、49年以降、とくに日本経済が朝鮮戦争の特需景気にわくようになってからのことになります。
『市民と博物館』第76号(2005年)より