昭和の型染 型紙にみるゆかたと手ぬぐいの模様
と き
2005年6月4日(土)–7月3日(日)
9:30–16:30(入館は16:00まで)
休館日
月曜日
観覧料
一般200円 高校生以下と65歳以上は無料
展示資料数
約80点
浴衣の型紙58枚 手拭いの型紙3枚 その他
内容
1920年代に入って東京において浴衣を染める技法が大きく変わります。江戸時代以来の長板中型という呼ばれる技法にとってかわり、現在でも使われている注染(ちゅうせん)技法が主流となります。この注染に使われた型紙を中心に展示します。
注染に使用された型紙の展覧会は、日本で初めてです。
小紋や長板中型の型紙の展覧会はいろいろなところで開催されているのですが、注染という技法に使用される型紙に限った展覧会はこれまでになかったのです。
型染教室
型紙彫りから本藍による染色までを通して体験してみませんか。
とき
6月9日 午前10時〜午後3時
ところ
博物館集会室
とき
6月25日 午前8時〜午後5時 真壁町藍工房
ところ
博物館集合・解散
二日間通して参加できるかた
会費
6000円(指導・材料費、バス代)
申込
5月25日〜 電話で 詳しくは博物館へ
● 型紙の魅力 よいものをつくる ●
浴衣と手拭いに模様をつけるときに使われる型紙を展示しています。
展示されている型紙は、大正時代の半ばに注染(染料を注ぐという意味の造語であろうと思います)という工業的に染める技法が開発されて、一般に普及していきました。
それ以前の染め方の浴衣は、手間がたくさんかかる技法によってなされ、そのため値段も良くて、庶民がたやすく手に入れられるものではありませんでした。この注染以前の技法は長板中型と呼ばれます。江戸時代にさかのぼるこの技法による型染技法は、現在でも受け継がれていますが、極めて危機的な状況にあります。
注染は大正時代に編み出された技法だといっても、型紙を彫るのも、浴衣や手拭いを染めていくのも、まだ手仕事のうちです。コンピュータが型紙を切っていくわけではありません。機械が染めていくわけではありません。手仕事であることを、完成した製品によって見ることよりは、道具である型紙を見ることで、よく理解できます。
型紙ですから、色はついていません。色のない寂しい展覧会ではあります。しかし逆に言えば、色に惑わされずに、精緻な模様だけを見ることができるのではないでしょうか。それは大正時代から昭和三十年代までの、庶民の日常の衣料の模様なのです。
文様を大きくわけると、動物をかたどったもの。植物の文様。幾何学的な文様。江戸時代からの伝統文様が大半ですが、それをすこしアレンジしたものもあり、さまざまな文様があり、抽象的なものや写生的なものいろいろで、この時代に好まれた文様を知ることができます。そして、見るひとの頭の中で色をつけて楽しむこともできるのではないでしょうか。
展示室で資料からちょっと離れて模様の豊かさを見て、ちかづいて型紙を彫る高度な技術をみる、そんな見方をおすすめします。気に入った模様を見つけたら、その型紙の前に立って、ゆっくりと時間をかけて見ていただきたいと思います。動物をかたどったもの。植物の文様。幾何学的な文様。江戸時代からの伝統文様が大半ですが、それをすこしアレンジしたものもあり、さまざまな文様があり、抽象的なものや写生的なものいろいろで、この時代に好まれた文様を知ることができます。そして、見るひとの頭の中で色をつけて楽しむこともできるのではないでしょうか。
型紙の制作の仕方にも幾通りかあります。目をこらさないとわからないのですが、型が壊れないように生糸、絹糸で補強されています。補強の仕方も幾通りかあって、型紙を緻密に彫ることだけでなく、補強することも手間ひまのかかる手仕事であることがわかります。型紙だけでなく、色を染める技術を含め製品完成までの全体の工程に手がかかっています。ですから「よいもの」ができるのではないでしょうか。そうした「よいもの」に囲まれる生活を想像してみるのです。
「よいもの」を作ることはどういうことか。注染の型紙は工業的染色技法で使われるものでありながら、そんなことを考える材料になっていると思えるのです。(K)