史料 櫛形炭礦閉山後の計画
 1972年

史料目次


史料について

翻刻にあたって

[本文]

櫛形炭鉱閉山後の計画

1.再就職対策について

所轄安定所を始め関係機関と綿密なる連絡をとり再就職活動に万全を期し、早期再就職を促進させる。社内部に労使合同の斡旋対策委員会を設け、閉山後直ちに斡旋活動が出来る態勢を48年1月中旬までに整え、2月1日以降直ちに斡旋を開始する。

2.住宅対策について

既存の福利厚生施設は閉山後10ヵ月間は従来通り利用させる。鉄筋コンクリート建アパート3棟54戸及び木造2戸建て62戸の社宅は閉山後10ヵ月を経過した後有料として主体を関連企業へ移籍した者の住居に与する考えである。

老朽住宅255戸については逐次取壊し将来の跡地再開発のための用地を確保する考えである。

閉山後10ヵ月を経過した後の住宅居住者に必要な飲料水の確保、塵芥、屎尿処理等は町営施設に依頼したい考えである。

十王町の過疎化対策に応え且つ従業員の地元定着の切望に副うべく社有地を開発宅造し分譲を計画中で第1次37区画の開発に着工し、2月末完工の予定にあり、更に第2次80区画の開発許可を申請中である。

3.鉱業用地の再開発について

地域社会の発展に協力する意味からも鉱業用地の再開発は当然考えなければならぬ所であるが、閉山に伴うさし迫つた山積する諸問題の処理が急務で跡地利用については目下の所具体的計画を有していない。

4.幼稚園の存続について

園児139名中従業員の子弟は僅かに40めい足らずという現状にあるが、町営その他の施設の整う期間を考慮し、昭和49年3月末まで継続させる考えである。

要望事項

再就職に当り子弟に公立高校に在学する者の転編入が地域によって極めて困難な所があり、再就職の障害となる例が多いのでこの点特別の配慮を講じて頂き度い。

従業員の約1/3は自宅を所有し且つ地元に居住を希望する者が極めて多数に及ぶものと予想されるので通勤可能な範囲に於ける再就職対策に格別の配慮を願い度い。