大煙突建設作業従事者の回想


 大煙突竣工記念 大正3年(1914)11月17日撮影  『大煙突の記録』より

大正3年11月17日竣工の日立鉱山大煙突。その建設にたずさわった高橋正さんが日本鉱業(株)日立製錬所の社内報の取材に答えたものが、『日立製錬所ニュース』第299号(1978年3月1日)に掲載されているので紹介する。

記事目次


テキスト化にあたって

[本文]

大煙突建設にまつわる思い出
 高橋正さん(86才)にきく

[日立]市内石名坂町に住む高橋正さんは64年前大煙突の工事に直接たずさわったとの情報を得ましたのでさっそくお宅を尋ねてみました。
高橋さんは、明治25年2月8日生れ。86才を過ぎているものの実に壮健で、記憶も鮮明で思い出深く当時の貴重な話をしてくださいました。
若冠16才で大煙突建設作業についた高橋さんは完成間ぎわにおやめになり全国各地の水力発電工事やトンネル工事の仕事を幅広く経験され、その後現在の石名坂町に戻り、一時大みかで石灰山の経営をしたがそれもやめ、現在では同地域の長老としていろいろな相談役をつとめ元気に過しておられます。

[付記]

 このページの冒頭に掲載した写真が、編集部が言う記念写真である。しかしこの写真の中央の日章旗の下に「大煙突竣工記念」とあり、右下には「大正三年十一月十七日写」とある。大煙突の竣工は大正3年(1914)年11月17日としてよいだろう。つまり編集部の解説にある起工が大正3年3月13日であれば、8ヶ月余で竣工したことになる。もちろん大煙突の完成というならば、煙突が機能しはじめる「使用開始日」である大正4年3月1日である。
 なお、高橋正さんの語りを読んでみると、記憶違いではないかと思われて気になる箇所があります。しかし当方に根拠があるわけではないので、読者のみなさんの判断にゆだねるほかありません。