史料 重内炭鉱の閉山について 1969年
1969年(昭和44)9月24日、重内炭鉱の会社代表が茨城県商工労働部長を訪問し、閉山にともなう従業員対策の善後策について要望した。翌日、会社は労組へ10月30日での閉山を伝えると、28日組合は臨時大会で条件付きで閉山を承認し、条件闘争に入った。そして10月16日条件が折りあい、19日臨時大会において閉山を承認した。
本項で紹介する史料は、10月16日の閉山条件妥結を受けて、茨城県商工労働部労政課員がまとめた10月17日付の手書きの報告文書である。
労政課(44.10.17)
重内炭鉱の閉山について
10日より炭労本部を入れて本格的な断交をはじめた組合は、15日額の引き上げをはかり、16日24hスト、18、19日の48hストを設定して最後の詰めを行った。
交渉は、夜を徹して行なわれ、1番方入坑時になつても解決もみなかつたが、16日午前8時になつてようやく下記内容にて妥結した。
記
- 1.退職手当及びその他の条件
- (1)退職手当 規定どおりとする(平均50万円)
- (2)閉山特別手当 勤続2年未満 10,000円
〃 10年〃 20,000円
〃 10年以上 30,000円- (3)閉山予告手当 本人給の30日分
- (4)期末手当見合金 15,000円
- (5)年次有給休暇の取扱い 各自の残日数を60%で買い上げる。
- (6)殉職者遺族見舞金 10,000円
身体障害者見舞金の及び公傷見舞金 5,000〜10,000円- (7)閉山餞別金 10,000円
- (8)帰郷旅費 家族持ち 10,000円
単身者 3,000円- (9)再就職の取扱い 別途協議
- (10)臨時員の取扱い 餞別金を年功を考慮して出す。
- (11)救護隊その他の役職 別途協議
- (12)閉山処理金 労働組合に対し30万円の他20万円を考慮する。
- (13)未払い退職金 本鉱員と同じ取扱いをする。
- (14)就職の斡旋 就職斡旋委員会を設置し、具体的活動は別途協議する。
- 2.福利厚生施設について
- (1)住宅利用 45年3月31日までとするが、退職金支払い期日ののびは
延期する。- (2)水道の利用 12月末までとするが、設置がのびる場合は延期する。
- (3)電気の利用 12月末まで
- (4)浴場の利用 45年1月31日まで
- (5)サービスセンター 診療所は存続させる。
- (6)希望者への住宅払い下げは、淡い期待ながらも努力する。
- (7)企業誘致をはかる。
- (8)山たき炭の確保 11月末の分を前渡支給する。
- 3.撤収用員については、別途協議する。
参考文献
- 炭礦の社会史研究会編『新聞記事にみる茨城地域の炭鉱と社会 昭和編3』pp.255-258