2018年東海第二原子力発電所の運転延長・再稼働に関する日立市議会への陳情結果

2018年10月20日発行の『日立市議会だより』第206号に、2018年第3回(9月)定例会の報告が掲載されている。その2頁に「提出議案等の議決結果一覧」があった。「議会だより」を読むことはまずないのだが、たまたまである。「受理番号1 東海第二原子力発電所…」という文字が目にとまった。つづけて「20年運転延長・再稼働に関する陳情」とあり、議決結果が「不採択」とあった。原発問題には関心があったので、どのような陳情だったのだろうと思ったが、この件名だけでは内容はわからない。次のページに目を移すと「議員の賛否」があり、この陳情に賛成・反対した議員の名前と所属会派の記載があった。不採択●がずらりとならぶ。

議員個人と政党の判断

4人が採択○、22人が不採択●。

○4人は、石井仁志伊藤智毅ひたち未来に所属し、小林真美子大曽根勝正日本共産党

陳情内容は、おぼろげながら推測できたが、これではわからない。ネット上で検索すると陳情書の原案を読むことができた。

この陳情書の趣旨は、日立市議会が東海第二原発の20年運転延長と再稼働に反対の議決をし、意見書を国・県へ提出することを求めるものであった。

つまり上記の○4人は、東海原発再稼働に反対の立場であった。

一方、この陳情を不採択としたのが●の議員である。再稼働に賛成の立場である。

全員が不採択●とした 民主クラブ に所属する議員は、原発メーカー日立製作所とその系列会社及びJX日鉱日石金属の社員、つまり企業出身で次の8人。
 ─ 粕谷圭 白石敦 塚田明人 高安博明 吉田修一 伊東健也 大庭弘美 青木俊一

全員不採択●とした 日立市政クラブ に属するいわゆる町方議員は
 ─ 瀬谷幸伸 今野幸樹 飛田謙一 蛭田三雄 茅根茂彦 佐藤三夫

町方議員の会派 ひたち未来は二つに分かれ、不採択●に投じたのは
 ─ 白土仙三郎 井上清 永山堯康

全員不採択●の 公明党 所属の議員は

─ 下山田幹子 三代勝也 添田絹代 薄井五月 館野清道


福島原発事故から7年。この陳情は原発をつくる町の議員および政党(とりわけ公明党)の意識のありようをはっきりと映しだした。

再稼働問題は現在進行中である。しかし現代史として記録しておくべき日立市議会の個々の議員および政党の判断であると考える。

追記 県内市町村議会の動向

2018年12月2日の『東京新聞』の1面に「3.11後 東海第二巡り意見書 茨城地方議会6割 「廃炉」「再稼働反対」」の見出しがついた記事が掲載された(29面に解説記事)。日本原子力発電東海第二原発をめぐり県内44市町村のうち6割をこえる30議会が廃炉や再稼働反対を求める意見書を可決していたことがわかったというものである。

そうではない14議会は、県北では東海村・日立市・ひたちなか市・那珂市・常陸太田市・大子町の6町村(大子町をのぞいていずれも原発から半径10km圏内にある)。県央では大洗町。県南ではかすみがうら市・行方市・潮来市・神栖市・稲敷市・河内町・坂東市の7市町である。