史料 関本炭礦閉山に伴う労組大会議事摘録

1969年8月31日に関本炭礦(北茨城市)が閉山した。1960年代後半の年間出炭量10万トン、閉山時の従業員約270人の常磐地区では中規模の炭礦であった。

69年7月18日、労使協議会の席上会社側から労組に閉山の申入れがなされ、これを受けて7月30日に臨時大会が開かれた。この臨時大会の議事摘録である。

開始時刻が8時、終了が12時30分、4時間30分に及んだ議論だったが、議事摘録という本史料からは緊迫感が伝わってこないが、それでも厳しい質疑があったことが断片的ながら知ることができる。


史料について

[本文]

閉山に伴う臨時大会議事摘録

一、日時 四四年七月三十日  午前八時より

二、場所 関本炭礦保育所に於いて

三、司会者 宮下書記長

四、議長団選出 岸木巌 志村紀

五、資格審査発表 構成数二四〇名 出席者一七〇名 委任者二〇名 欠席五〇名

六、組合長挨拶 大沼組合長

七、来賓祝辞 中村保県議 常磐茨城熊田組合長

八、議題

 第一号の一 礦業所閉山に関する件

組合長より十八日に会社側から提示された閉山内容を説明し、さらに坑内状況について図面に依る説明を加えて閉山に関する確認を求めた結果終掘閉山であるため全員やむなく閉山を確認し、執行部提案を認めた

 第一号の二 労使協議会(閉山問題)経過について

 第一号の三 全炭礦閉山特別対策委員会経過について

首題の件については閉山提示以降の取扱い経過についてであり、関連上二と三項を同時報告し質疑応答に入ったが、意見として拡大委員会を闘争委員会に切り替えると言うが、閉山という重大な時期に直面しているため、ぐる廻りとか巡番制とかの中で選ばれた拡大委員に問題があると思うので、あらためて一般から闘争委員を選出してこれに対処すべきであると言う様な意見が出され、組合長、書記長からそれぞれ現状維持で進みたいとの説明が行なわれ承認された

 第一号の四 閉山条件要求案確認について

先づ本題に入る前に組合長より退職手当の支給額についての説明があった。昨年秋に妥結した退職手当の中に閉山時に於ける基礎賃金が、普通退職手当なみに協定されているため、その時点に於ける紳士協定的な確認事項を生すための交渉を去る二十四日から二十九日まで連日交渉を続会させ、最終的には勤続年数別の四段階方法で妥結したと報告し、書出し書面に依って説明を加え、質疑応答の中で次の如き意見が出された。従ってこれに対する説明があり、加えて紺野中執からの補足説明もあって結果的には原案通り決定された

十五年以上の者も関本炭礦と共に苦労してきた。従って二十年以上の条件と同様にしろ

事業上都合の退職金も停年退職と同額と言うことではなかったか

健保日額は新旧いずれで取扱うのか説明願いたい

要求書の取扱いについては書記長より、全炭鉱役員および関本労組執行部とに依って作製され、二十七日に開催された拡大委員会で一部修正を認めて決定された要求書案を、プリントに基き説明し質疑応答に入ったが、十三項目にわたる要求書であり逐条審議で協議を進め、長時間にわたる討議の結果原案通り決定された

 第一号の五 当面の闘争日程について

組合長より前記で決定された要求書の提出を三十一日に行ない、八月一日から六日に予定している確認大会まで連日条件闘争を強行して推進させると提案し異議なく決定された

 第二号 期末手当闘争経過確認について

書記長より妥結内容と闘争経過の報告を行ない満場異議なく承認された

以上を以つて予定された議事日程を終了し、議長団から協力に対する感謝と議長退任挨拶が行なわれ、最後に大竹執行委員より閉会の挨拶が行なわれ十二時三十分終了した