史料 関本炭礦閉山にともなう櫛形炭礦の求人

史料目次 ── 事業の内容|採用条件|福利施設について|賃金体系


1969年8月に関本炭礦(北茨城市)の閉山が決定した。1960年代後半の年間出炭量10万トン、閉山時の従業員約270人の常磐地区では中規模の炭礦であった。閉山のおり高萩炭礦(株)櫛形炭礦が離職者に募集をかけた(高萩炭礦株式会社の主力炭礦であった高萩炭礦は2年前の1967年8月にすでに閉山していた)。その際に配付された史料を紹介する。櫛形炭礦における職種や賃金体系など労働条件が詳しく知られる。

史料について

[本文]

[櫛形炭礦]事業の内容

常磐炭田の南端に位置し、政府からも「ビルド礦」として亦可燃性ガスのない炭礦として指定されている。

開礦以来25年「堅実」と「和」をモットーとする経営方針により着実な進歩を遂げ、業績は年毎に上昇しており、礦員組合員450名、職員組合員50名、その他若干の臨時員で年産24万トンを算出している。

尚関連会社としては九州福岡の日本炭礦、京葉地区の京葉ガス、不二サッシ、南悠商社、船橋ヘルスセンター、近くには望海炭礦、高萩製作所、日興建設、高萩商事、十王砕石、高萩ビーチガーデン、高萩大心苑等その他中小を含めればその数10数社に及んでいる。

一 採用条件

1.職 種 直接員(採炭・掘進・支柱)
間接員(機電・運搬・工作)
坑外員(機電・工作)
2.年 齢 18歳〜50歳
3.勤務先 茨城県多賀郡十王町友部
高萩炭礦株式会社櫛形礦業所
4.勤務時間 8時間   3交替制
1ノ方   午前7時〜午后3時
2ノ方   午后3時〜午后11時
3ノ方   午后11時〜午前7時
5.休 日 週休制
連休については別途労使協議により制定する
6.賃 金 別紙にて説明します
7.期末手当 年2回(44年上期、期中有資格者平均47,400円)
8.退職手当制度及
 その他の諸制度
あり
9.有給休暇 法定の有給制度有り
10.家族稼働者の職
 場
有り。当社傘下の系列会社を中心として就職斡旋します

二 福利施設について

1.住 宅 各戸水道完備の木造住宅500戸の外、近代的な鉄筋3階建のアパート(54世帯分)
電気料30Kまで100円 1K増毎に4円 100K使用された場合340円
2.寮 単身者100名を収容出来る木造建築の宿舎、娯楽設備が完備、食費1日200円、会社負担1ヵ月2000円
3.売 店 所内に高萩サービスセンターを設け、日用品、その他一切市価より安く販売しています
4.その他     病院、理髪所、付属浴場、幼稚園等が完備しており、小学校には徒歩2分〜5分、中学校には15分と近接して居ります

[別紙]

 賃金体系

(1)基準内賃金  本人給 請負給
固定給
本番給
職能給
家族給
(2)基準外賃金 超過労働賃金  早出残業手当
連勤手当
公休出勤手当
特別公休出勤手当
特殊労働賃金 臨時入坑手当
深夜業手当
降雨雪手当
宿直手当
監視断続業務手当
職務手当
呼出手当
乗務手当
奨励手当 出稼奨励手当
坑内外運搬及貨車積込手当
不就業手当 年次有給休暇手当
道具代手当
通勤手当

A 採炭賃金

 標作に基づく基準賃金は1,295円とし固定給500円、請負給795円に区分する。但し請負給は全額を炭代とする。

1.本人給 (操業日25日に対する88%稼働と設定する)
固定給(500円)+請負給(1,874円)=2,374円×22方=52,228円(59,350円)
2.残業賃金 請負残業 45円×22方=990円
日役残業 277円×22方=6,094円=7,084円(8,050円)
3.深夜賃金 174円×22=3,828円(4,350円)
4.公休出勤賃金(1方) 採炭在籍平均 1,444円(1,444円)
5.出稼手当及通勤
 手当
採炭在籍平均 796円(796円)
6.家族手当 (扶養2人) 800円(800円)
1〜5の合計額 (65,380円+800円)=66,180円
 注 操業日満勤については合計額は上記( )の額  74.790円

B 支柱員の賃金

1.固定給及び請負給 =本人給
支柱員の作業は請負を原則とする
1,530円(一人当り平均請負給)×25方=38,250円
2.残業賃金 381円(支柱員稼働在籍平均)×25方=9,525円
3.深夜賃金 37円(支柱員稼働在籍平均)×25=925円
4.公休出勤賃金(21方) 2,792円
5.出稼手当及通勤手当
(支柱員稼働在籍平均)
720円
6.家族手当(二人扶養) 800円
1〜6合計額  53,012円

C 機電関係賃金

 機電関係作業の職種は運転工、現場機電工、日勤工に区分され、時間内作業に於いても割増賃金制度有ります

1.本番給(機電稼働在籍
 平均)
1,174円×25方=29,350円
2.残業賃金(若干の連勤
 賃金含む)
537円(機電稼働在籍平均)×25方=13,425円
3.公休出勤賃金(25方) 3,237円
4.深夜賃金 94円×25方(機電稼働在籍平均) 2.350円
5.出稼手当及通勤手当
(機電稼働在籍平均)
1,189円
6.家族手当(二人扶養) 800円
1〜6合計額  50,351円
[職種別人員数・1工当り賃金]
職 種 人員  延工数 基準内外支払合計  一工当り
坑内員 採炭 119 2,240 6,766,110 3,020
支柱 81 1,654 3,519,395 2,127
機電 37 824 1,730,623 2,100
運搬 26 453 1,019,215 2,250
坑外員 運搬 14 304 502,630 1,653
用務 25 586 954,790 1,629
選炭(女子) 17 419 460,983 1,100
全 礦 445 9,373 21,037,607 2,244
[昭和43年10月〜44年6月の月別出炭量と操業日数]
月別  出炭 操業日
43.10  23,055 27
11 19,139 25
12 18,263 26
44.1 21,931 24
2 22,195 24
3 23,484 26
4 22,730 25
5 23,292 26
6 21,070 25