未来へと語り継ぐ日立の戦災 目次
- 副書名 終戦70周年記念事業
- 編発行 日立市生活環境部市民活動課
- 発行年 2016年3月
- 判型等 A4判 77頁
刊行経緯
日立市は「日本国憲法の恒久平和の理念に基づき、核兵器の廃絶と人類永遠の平和を希求するため」1985年に「核兵器・平和都市宣言」をしました。以来日立市は平和事業に取り組み、さまざまな活動を行なっています。その一つとして敗戦70年の2015年度に戦争体験の記録を発刊しました。
本書はPDF版でネット上に公開されています。こちら で読むことができます。また小中学生向けの平和学習資料として「日立の戦災」を編集・発行しており、これもネット上の こちら で読むことができます。
敗戦から9年後に
第一章に収録されている安藤靖子さんは敗戦時6歳、父親が当時多賀町成沢にあった多賀工業専門学校(現茨城大学工学部)の教師していたので、油繩子にあった官舎に住んでいました。1945年7月17日、官舎と隣にあった学生寮に艦砲が炸裂し、学生と教師が犠牲となります。その時の体験を9年後中学生となったときに書きとめています。中学生になってようやく戦災体験を外部化し、言葉にできるようになったのでしょうか。一部を紹介します。
あちらでもこちらでもむごい話しか聞けません。姉もいちばん仲良しだった友だちの死を聞いておこったような顔をしていました。父や兄が家の整理をしているのを、私たち子どもはぼんやりと眺めていました。
「私のお人形ある?千代紙は?」たずねてもむだなことでした。疎開、終戦。目まぐるしく過ぎた私の幼稚園時代。あれから九年という長い年月がたちましたが夏がくるごとにあの時の姉のおこったようなさびしい顔が目に浮かんできます。
内容細目
第一章 語り継ぐ戦争の記憶 | ||
凡例:タイトル・氏名・敗戦時の年齢。 [ ]内は制作者の補足 |
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少年期の回想 | … 小林 進 | 4歳 |
おこったようなさびしい顔 | … 安藤靖子 | 6歳 |
私の戦争体験談 | … 面川道宏 | 6歳 |
戦後七十年 六歳の記憶新たに | … 鈴木順子 | 6歳 |
六歳の終戦 | … 関根政子 | 6歳 |
日立の戦災 | … 渡辺真喜子 | 7歳 |
東京大空襲の体験 | … 和田 昭 | 9歳 |
銃後の戦場、体験記 | … 青木昱秀 | 10歳 |
終戦の年の思い出 | … 武田孝一 | 10歳 |
平和の順ひをこめて私の戦中戦後 | … 袴塚 昭 | 10歳 |
小学四年生の戦災体験 | … 皆川直司 | 10歳 |
狙われた日立工場大煙突 | … 内山英子 | 11歳 |
じいじの語り伝え | … 江尻智一 | 12歳 |
七〇年前の記憶 | … 酒井道子 | 12歳 |
戦争と私と少年時代 | … 熊谷勝典 | 13歳 |
日立工場空襲爆撃と戦争の悲惨さ | … 鈴木一夫 | 14歳 |
軍隊生活を顧みて | … 須田 武 | 15歳 |
戦死した兄 | … 北見徳治 | 16歳 |
出征した人を見送る | … 鈴木静枝 | 17歳 |
終戦の年の思い出 | … 斎藤義嗣 | 18歳 |
私の六月一〇日午前九時 | … 吉田 実 | 18歳 |
私の戦争体験 | … 西村春男 | 19歳 |
戦争の記憶と平和 | … 松村郁子 | 20歳 |
九九・九九%の死から生へ 昭和一八年二月満州にて | … 鈴尾文吾 | 25歳 |
ある青年の兵役体験[父親の戦場体験] | … 黒澤 巌 | |
第二章 これからの平和を願って | ||
日立市の平和啓発事業 |